Tuesday, November 13, 2012

恩師を囲む会

11月10日(土) 柴田二郎 先生を囲む会。
            ーーーーーーーー山口市亀山町 ラ,フランチェスカで





Wednesday, October 10, 2012

2012年ノーベル医学生理学賞

 2012年度ノーベル医学生理学賞に山中伸弥 教授(京都大学)とジョン・
ガードン教授(ケンブリッジ大学)が選ばれました。




Tuesday, September 25, 2012

ポリオ不活化ワクチン


この9月からポリオワクチンが生ワクチン(経口)から不活化ワクチン(皮下注射)
に変更されました。 DPTワクチンと混合した4種ワクチンは,この後しばらくしたら
認可される予定です。

対象:   生後3か月〜7才半
投与回数: 初回接種は3回(3〜8週あけて)
ーーーーーー追加接種 1回(6か月あけて)

      経口生ポリオワクチン1回受けた➞ 2回(3〜8週あけて)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー追加1回(6か月以上あける)


ご質問は: 
〒755ー0097
山口県 宇部市 常盤台1丁目20−2
上宇部こどもクリニック 萩原啓二 
電話: 0836-29-1155
Fax: 0836-29-1156
E-mail: keijihagiwara@gmail.com

Saturday, September 1, 2012

マイコプラズマ肺炎

NHKから電話があり,NHK総合放送の”朝いち”で,マイコプラズマ肺炎のX線写真
を使用したい旨連絡がありました(8月31日放送)。
 
今年は,マイコプラズマ・ニューモニエ (肺炎マイコプラズマ Mycoplasma 
pneumoniae) 感染症が流行しています。これについて少し詳しく説明します。

出典は 萩原啓二.マイコプラズマ,小児科臨床ピクシス20,かぜ症候群
     と合併症,p128〜130,2010年8月発行,中山書店。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     マイコプラズマ感染症


1)病原体
  マイコプラズマ・ニューモニエ(肺炎マイコプラズマMycoplasma pneumoniae)

2)疫学
  ◯ヒトが感染源。動物の宿主は知られていない。飛沫感染で濃厚接触が必要,

          家族内発生が多いのはそのためである。
  ◯季節は秋〜冬〜春に多い。
  ◯罹患年齢:小学生(特に7〜9才にピーク)中学生に多発し1才以下は少ない。
        3才以下の小児では不顕性感染が多いと言われているが,各年齢層

        での顕性感染率,不顕性感染率を詳しく調べたデータはない。
        アメリカでは大学生,軍隊での発生が多い。
  ◯日本ではオリンピックの開催年に流行をくりかえしていたが,1992年以降から

        4年周期性はなくな
        ってきた。
   ◯潜伏期間が約2〜3週間なので,インフルエンザウイルスのように短期間に

        幼稚園,小学校で患者が集中発生することはない。地域での流行は
        数ヶ月かけておこる(smoldering epidemic くすぶり流行)。

3)臨床症状と診察所見


a)急性上気道炎:初期は他の病原体のものと区別がつかない。咽頭発赤はない。    
        日常臨床ではこの病型をとるのが多いと思われるが,風邪としてマクロライド系
  抗生剤が処方されそのまま軽快する。小学生1名がこの菌による肺炎になった場
  合そのクラスには4〜5名の急性上気道炎の患者が発生している可能性がある。
  

  マイコプラズマ感染では咳はひどいが通常は喘鳴はない。気管支喘息をしばしば,
  誘発するので注意したい。


b)マイコプラズマ肺炎:発熱,空咳が日が経つにつれて次第に強くなる。聴診所見
 では乾性ラや呼吸音の減少を認めることが多いが,湿性ラ音もある。聴診所見が
 はっきりしないのに胸部X線で浸潤像(スリガラス状陰影,図1)を認めること
 がある。


 胸部X線上の陰影の大きさの割に患児が元気であるのが特徴。皮膚に不定形発疹
 をみることがある。白血球数は正常,軽度の増加ないし減少で一定しない。CRP
 は軽度陽性。寒冷凝集反応は陽性となるが特異的ではない。AST 、ALT の上昇
 を一過性に認めることもある。胸膜炎,胸水貯留のある症例は高熱がつづく。


  セフェム系抗生物質を3日以上内服しているのに解熱せず咳がひどくなり,
 白血球数の増減もそれほど強くなくCRPは弱陽性,胸部X線所見の割には患児は
 元気である症例はマイコプラズマ肺炎を疑う。 





図1。左肺のすりガラス様陰影,11才,女, 第5病日

       2月11日 夕方から39度の発熱。翌日近くの小児科を
            受診し薬をもらうが,その後も高熱つずき,
            咳がひどく(特に夜中)なってきた。
       2月15日 当院を受診。胸部(左)で乾性ラ音(+)。
            白血球数5,300。CRP1.43mg/dl,ESR 36mm/hr.
            胸部X線写真で左肺に均一陰影(+)
            ーーーー 大学病院へ紹介し入院。
       2月22日 退院。


        右上肺の陰影,6才,男,第6病日           
 
 マイコプラズマ感染症のまれな合併症としては、急性脳炎,無菌性髄膜炎,中耳炎、

 肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ ジョンソン症候群などがある。

4)検査: 
  a)間接赤血球凝集反応(Indirect hemagglutination=IHA):
  マイコプラズマ抗原で感作したタンニン酸処理ヒツジ赤血球溶液に被検血清
  を加えた後の血球凝集の有無で判定。主としてIgM抗体とIgG抗体を反映している。
  現在は一部の研究室以外は使用されない。

  b) 粒子凝集法(Particle agglutination=PA法)
        ヒツジ赤血球のかわりにゼラチン粒子(セロデア-MYCOII®)を使用した方法。
  原理はIHAと同じだが凝集が明瞭,溶血の影響をうけず感度がよい。
  第5病日以内での採血では抗体価が上昇しない。抗体価は第15〜21病日で最高
  となり,その後数ヶ月かけて低下する。患児の採血病日に注意したい。

  診断基準(PA法):
  
ーーーー抗体価の表記法は×40倍以下,×40, ×80,×160,×320,×640, ×1280,×2560, 
ーーーー×5120, ×10240 ------- である。ーーー

ーーーi) ペアー血清(急性期,その2週間後の回復期)で4倍以上。      
ーーーーーーーーーーーーー    例:急性期×40以下 →  回復期×160。
   ii)単1血清では×320〜640倍以上。ただし過去に同菌に罹患したあと6ヵ月
     後も×320倍以上の抗体価を示す患児もいるので,単一血清の高い値だけ
     では今回の病気の起炎菌であるとは判定できない。やはりペアー血清が
     望ましい。




c)迅速診断キット:血清中のIgM抗体を酵素抗体法で測定するキット                 (イムノカードマイコプラズマ抗体®)が市販されている。定性反応で15分
   で判定できる。ただしPA法を基準とした場合,感度95%,特異度43.5%,
   陽性反応的中度44.2%,陰性反応的中度94.9%,有用度60%で信頼性に欠ける

d)咽頭スワッブを使用しての分離培養,あるいはPCR法Mycoplasma  pneumoniae
         特異的DNA検査は一部の地方衛生研究所と研究機関で実施。
   ただしマイコプラズマ感染には不顕性感染がある。さらに抗生物質で治療をう
   け治癒した後も数ヶ月以上にわたり患者の咽頭から菌が分離されることがある
   ので留意。 

5)治療
  我が国ではマクロライド耐性菌が2000年初頭より認められ,耐性率が増加して
    きている。ただし耐性菌感染でも,感受性菌に比較して2〜4日ほど発熱の遷延が
  みられるだけであり,日常臨床上でも重症化率が増加している傾向はない。
  現在の第一選択はマクロライド系抗生物質である。


  経口薬:エリスロマイシン:DS/200mg錠 20〜40mg/kg/日,分4。
      リカマイシン:DS/100mg錠 20〜30mg/kg/日,分3。
      クラリスロマイシン:DS/50mg錠/200mg錠10〜15mg/kg/日,分2〜3。
      アジスロマイシン:細粒 10mg/kg/日,分1で3日間。      
  注射薬:クリンダマイシン: 8〜16mg/kg/日,分3〜4。
      ミノマイシン:2〜4mg/kg/日,分2。 
     耐性菌に有効なもの:
       ミノマイシン細粒(MINO): 2〜4mg/kg/日,分1〜2。8才以上に使用。
       スパロフロキサシリン,レボフロキサシン:小児への適応なし。



  マイコプラズマ肺炎で左記の抗生物質で治療するも発熱し咳がひどくなる場合は
  胸膜炎ないし胸水貯留があるかどうかを確かめる。耐性菌の問題もさることながら
  発熱がつづく原因で,ステロイド剤の内服を短期間おこなうことで軽快する。

6)感染制御
   抗生物質の予防内服は家族内感染防御に有効との報告もあるが,ルーチンに推奨は
  されていない。ただし鎌状赤血球症,ダウン症,免疫不全症,慢性心臓呼吸器疾患
  をもつ患児の場合は予防内服が必要。



文献
  1) 萩原啓二ほか.F小学校で集団発生したマイコプラズマ・ニュ−モニエによる急性呼吸
        器疾患の調査. 第99回日本小児科学会総会. 1996.4.21.熊本.
 2) 岡崎則夫ほか. Mycoplasma pneumoniae感染患者におけるM.pneumoniae分離と
        IHA抗体価. 感染症学雑誌1989; 63:714−719.
 3) 加藤彰一. 半定量解析によるイムノカードマイコプラズマ抗体キットの有用性の評価.
         小児感染免疫 2007;19:27-35.
 4) 成田光生.薬剤耐性マイコプラズマの現状と今後の展望.モダンメデイア2007;53:
        297-306.
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Monday, July 23, 2012

緑のカーテン

診療所の裏側のとこで,朝顔で緑のカーテンを作りました。

Monday, July 16, 2012

食中毒:ボツリヌス菌

ボツリヌス菌(A型)のコロニー(5倍に拡大):血液寒天培地で72時間培養
                                          ----------- Public Health Image Library
ボツリヌス菌:グラム陽性の桿菌(1x5 μm)
                                     ------------ Public Health Image Library
ボツリヌス菌の芽胞(Malachite green染色):広く土壌,ヘドロに芽胞の形で生息。
                         ----------------- Public Health Image Library

ボツリヌス菌 Clostridium botulinum
ーーーーーーーグラム陽性の桿菌(1x5 μm)。
ーーーーーーー広く土壌,ヘドロ芽胞の形で生息。空気のない嫌気状態
ーーーーーーーでは芽胞から増殖しボツニヌス毒素を産生。


ーーーーーーー毒素の違いによりA~G型に分類され、ヒトに対する中毒は
ーーーーーーーA,B,E,F,G型で起こる。
-------------------------A型:アメリカ太平洋岸
-------------------------B型:ヨウロッパ,アメリカ中部
-------------------------C型:南アフリカ,オーストラリア,アメリカ
-------------------------D型:南アフリカ
-------------------------E型:日本
ーーーーーーーボツリヌス毒素自体は100℃で1~2分の加熱で失活されるが,
ーーーーーーー菌を不活化させるには100℃で6時間、芽胞では120℃で4分間
ーーーーーーーの加熱が必要。


ボツリヌス症:多くはボツリヌス毒素を含んだ食物を食べることで起こる。
       潜伏期間は数時間から数日。
ーーーーーーー複視から顔面麻痺,四肢の麻痺へと進行する。乳児では便秘,
       ほ乳力が低下,脱力状態となる。


感染経路:  肉類の缶詰,キャビアの缶詰,ソーセージの処理過程
ーーーーーーー(多くは自家製)で,ボツリヌス菌芽胞が混入し空気の
ーーーーーーーない状態で発芽して増殖。
ーーーーーーー乳児では輸入した蜂蜜を摂取して発病した事例がある。


ーーーーーーー1984年、熊本県で製造された真空パックの辛子蓮根を食べた
ーーーーーーー36名がボツリヌス菌(A型)に感染し、内11名が死亡した。
ーーーーーーー原料のレンコンを加工する際に滅菌処理を怠り、なおかつ真空
ーーーーーーーパックし常温で保管流通させたために、土の中に繁殖する嫌気性
ーーーーーーーのボツリヌス菌がパック内で繁殖した



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食中毒:細菌性赤痢

赤痢菌:Shigella boydii, 血液寒天培地
-------- Public Health Image Librararty, CDC.
赤痢菌:Shigella dysenteriae
2,200倍,走査電顕写真

病原体  :赤痢菌(Shigella)。
ーーーーーーShigella 属には4菌種ありShigella dysenteriae, 
ーーーーーーShigella flexneri , Shigella boydii, Shigella sonnei ある。

感染経路: ほとんどが海外からの輸入例である。
ーーーーーー細菌性赤痢の主な感染源はヒトであり、患者や保菌者の糞便、
ーーーーーー汚染された手指、食品、水、ハエ、器物を介して感染する。
ーーーーーー水系感染は大規模な集団発生を起こす。感染源がヒトである
ーーーーーーので、衛生水準の向上と共にその発生は減少する。
潜伏期:  1 ~3日
症状:   急激な発熱、水様性下痢,腹痛、膿粘血便
ーーーーーーS. dysenteriaeS. flexneri は典型的な症状を起こす事が多いが、
ーーーーーーS. sonnei の場合は軽度な下痢、あるいは無症状に経過することが多い。





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食中毒:エルシニア菌

エルシニア菌(エンテロコリチカ,XLD寒天培地)
エルシニア菌(エンテロコリチカ,鞭毛染色)

エルシニア菌:グラム陰性の桿菌で腸内細菌科に属しており、冷蔵庫内温度
ーーーーーーーである4 ℃でも発育できる。11種類に分類される。
ーー感染経路:Yersinia enterocolitica 、Yersinia pseudotuberculosisでは
ーーーーーーー汚染された飲み水(井戸水),ミルク,ブタ肉,食物を介して経口的に
ーーーーーーー感染する。保菌動物はブタ,犬,猫,ネズミ( pseudotuberculosis)
ーーー ーーー白鳥(enterocolitica)。ブタの小腸を扱った母親から赤ちゃんに
ーーーーーーー感染した例もある。季節は夏より冬に発生しやすい。
ーー潜伏期間:4〜6日(1〜14日)

i)   Yersinia enterocolitica(エルシニア・エンテロコリチカ):下痢や腹痛をともなう
  急性腸炎が多いが,急性虫垂炎様,敗血症,髄膜炎,ポリオ様,腎炎,
  結節性紅斑や関節炎まで多彩である。
ii)  Yersinia pseudotuberculosis (エルシニア・シュードツベルクローシス):
ーー乳幼児に多くみられ、発熱は殆ど必発であり、比較的軽度の下痢と腹痛、嘔吐
ーーがこれに次ぐ。発疹、紅斑、咽頭炎もしばしば観察される。川崎病と同じ症状
ーーを示す例など。
iii) Yersinia pestis(エルシニア・ペスチス):ペスト菌含有ノミ(野ネズミ)の
ーーー咬傷による。ーーー 次のブログで後述します。


日本での集団発生:1972年に下痢症患者から初めてYersinia enterocolitica 菌が分離
ーーーーーー されてから現在までに、14例の集団食中毒の発生が確認されている。
ーーーーーーー患者数が最も多かったのは1980年に発生した沖縄県の事例で、
ーーーーーーー1,051名の報告がなされた。最近では1997 年に、徳島県の病院や
ーーーーーーー学校の寮で患者66 名発生。ペストは大正以来日本で発生はない。


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Monday, July 9, 2012

夏の食中毒:ウエルシュ菌




ウエルシュ菌(顕微鏡,グラム染色)
                                 

ウエルシュ菌:長さ3~9μm、幅0.9~1.3μm
走査電顕, x1,600倍。青色に人工着色してあります。
-----------  Dennis Kunkel Microscopy, Inc.

ウエルシュ菌(Clostridium perfringens ):ヒトや動物の大腸内常在菌であり、下水、
ーーーーーー河川、海、耕地などの土壌に広く分布する。ヒトの感染症としては
ーーーーーー食中毒の他に、ガス壊疽、化膿性感染症、敗血症等が知られている。

汚染食品:食肉、あるいは魚介類等を使った調理品。
潜伏期間:6~18時間
症状       :腹痛,水様便。嘔吐や発熱などの症状はきわめて少なく一般的に軽くて
ーーー    ー1~2日で回復する。





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食中毒:セレウス菌





 セレウス菌(ヒツジ赤血球を含む寒天培地に増殖したもの)
                            
セレウス菌(グラム染色)


セレウス菌(Bacillus cereus):炭疽の病原菌はこの仲間。
ーーーーー100 ℃30 分の加熱にも耐える芽胞の形で土壌などを中心に自然環境に
ーーーーー広く分布し、野菜や穀物などの農産物を汚染している。毒素を産生。
ーーーーー嘔吐をおこす毒は消化酵素や熱、酸・アルカリにも安定であるため、
ーーーーー食品中で産生された毒素で中毒が発現する。

潜伏期間:30分~5 時間
症状  :腹痛,嘔吐,下痢。


発生年月  患者数     原因食品   場所
---------------------------------------------------------------------
1990年1月  350    仕出し弁当  会社
1990年8月  291    牛乳     保育所,家庭
1991年8月  359    給食弁当   社員食堂
1991年9月  1,877    学校給食   学校
1992年4月  541    弁当     学校
1995年10月  296    仕出し弁当  自宅
1996年5月  254    スパゲッテイ 学校給食
1998年10月  516     米飯     飲食店
----------------------------------------------------------------------




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夏の食中毒:腸炎ビブリオ菌




腸炎ビブリオ菌(走査電顕,1,400倍)

腸炎ビブリオ菌:学名はVibrio parahaemolyticus。
ーーーーーーーー日本では特に6月から9月の、海水温が20℃を超える時期に多く
ーーーーーーーー発生する。本菌は海水に広く存在するため、イカや貝類が比較的多い
ーーーーーーーーが、その他の一般の魚など、ほとんどの海産魚介類の生食が原因に
ーーーーーーーーなりうる。
潜伏期間:6〜12時間。
症状  :発熱,嘔吐,腹痛,下痢であるが,2〜3日で回復。
ーーーーー毒素による心臓毒性によって死亡することもある。

1950年、泉州地方を中心とした大阪府下で、激しい腹痛を伴う原因不明の下痢の患者
が集団発生。患者数は272名(死者はうち20名)。発症者がいずれも、大阪府下で行商
販売されていた白子干し(シラス干し)を食べていたことから、これが原因食品である
ことは早期に特定されたが,当初考えられた既知の食中毒菌は分離されなかったこと
から毒物混入事件として疑われ、刑事事件として立件された。その後,大阪大学医学部
の藤野恒三郎によって,これまで知られていないビブリオ属に属する好塩性のグラム陰
性桿菌の一種が分離された。





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夏の食中毒:腸管出血性大腸菌





腸管出血性大腸菌( O157:H7):走査電顕,7,075倍。

腸管出血性大腸菌:ベロ毒素を産生することのあるO抗原としては、O1、O2、O18、
------------------------ O26、O103、O111、O114、O115、O118、O119、O121、O128、
------------------------ O143、O145、O157、O165などがある。全体の約80%がO157。
潜伏期間:3~5 日。
症状:  激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に、血便となる。
原因食品:ベロ毒素(Verotoxin, またはShigatoxin )を産生する大腸菌で汚染
ーーーーーされた牛肉,ハンバーガー。
合併症: 病気の回復期に小学生,特に幼児では溶血性尿毒症症候群(Hemolytic 
ーーーーーUremic Syndrome),稀には脳症などの重症な合併症がおこる。





腸管出血性大腸菌(0:157)の集団感染事例:
1)1990 年埼玉県浦和市の幼稚園で井戸水(2次汚染)を原因とした集団発生で
ーー120名の園児が急性腸炎に罹患,20名が溶血性尿毒症症候群(年令が2〜8才)
ーー園児2 名が死亡。
2)1996 年5月,岡山県に始まった集団発生から、7月には大阪府堺市の小学生5,591名に
ーー上る集団発生。入院総数約600人(?)溶血性尿毒症症候群,約300人(?),
ーー3名が名死亡。原因は給食あるいは仕出し弁当であった。カヨワレ大根
ーーが疑われたが原因食品が確定できなかった。
3)1998年には北海道産のイクラを原因食品として7 都府県で患者49 名が発生。
4)2001年には輸入牛肉を原材料とした「牛タタキ」を汚染源とし7都県で240名の患者
ーーが発生する事例も報告された。

一方、本症では家族内発生と二次感染が多いことも特徴である。発生時期は、夏季に多い
が冬季にもみられる。 1997年以降、集団事例の報告数は減ったものの、散発事例におけ
る患者数はほぼ横ばい状態で年間千数百人の患者が発生している。

腸管出血性大腸菌(O:111)の集団感染:
2011年4月:焼き肉チェーン店(主に富山県内)で患者数181名,溶血性尿毒症症候群
32名(1〜70才),脳症9例,死亡5名。ユッケが主たる原因食肉。


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Tuesday, July 3, 2012

夏の食中毒:サルモネラ菌





                            

サルモネラ菌(血清型 enteriditis, SS寒天培地)
---------- 山口大学医学部臨床検査 水野
サルモネラ菌(血清型 Typhimurium, 走査電顕 2,500倍)

サルモネラ菌:自然界のあらゆるところに生息し、鳥類、爬虫類、両生類が 

ーーーーーーー保菌している。とくに家畜(ブタ、ニワトリ、ウシ)の腸管内
ーーーーーーーでは常在菌として保菌していることが知られている。
-----------種類:2,000種類以上の血清型に細分。日本の腸チフス(Salmonella typhi ),
ーーーーーーーパラチフス(Salmonella paratyphi )の感染例は海外からの帰国者である。
ーーーーーーー日本国内では Salmonella enteriditisによる食中毒が近年急激に増加。
ーーーーーーー
潜伏期間       :8~48 時間
症状ーーーー:悪心および嘔吐で始まり、数時間後に腹痛および下痢を起こす。
ーーーーーーーTyphimurium などは小児で意識障害、痙攣および菌血症、高齢者では
ーーーーーーー急性脱水症および菌血症を起こすなど重症化しやすく、回復も遅れる。

原因食品:1)生卵:洋菓子クリーム,シュークリーム,卵納豆,ヤマかけ,とろろ
ーーーーー2)卵調理品:オムレツ,卵焼き,だし巻き,錦糸卵,卵とじ。
ーーーーーーーーーーーー魚の黄身焼き,サラダ,どんぶり,ちらし寿司
ーーーーーーSalmonella Enteritidisに卵が汚染される経路は,親鳥から卵に感染。
ーーーーーー生みたての新鮮卵の中に既に菌があるからで,卵殻表面の消毒だけ
ーーーーーーでは防げない。
ーーーーー3)乾燥イカ菓子(1999年3月,Salmonella Oranienburg )
ーーーーー4)鶏肉,生ハム



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Monday, July 2, 2012

夏の食中毒:カンピロバクター菌



カンピロバクター・ジェジュニ菌(スキロー培地)
----------- 山口大学医学部臨床検査部 水野
カンピロバクター・ジェジュニ菌(48時間培養したもの,顕微鏡写真)
カンピロバクター・ジェジュニ菌(走査電子顕微鏡,倍率11,734)

カンピロバクター菌:鶏肉の調理時の十分な加熱、調理器具や手指などを介した
生食野菜・サラダへの二次汚染。トリ刺し、レバ刺しは避けて下さい。


潜伏期間が2~5日と少し発病するまで時間あります。嘔吐,下痢,粘液血便の
程度が個人差があり,同じものを食べても発病しないヒトもいます。


殆どが Campylobacter jejuni 菌。





ご質問は: 
〒755ー0097
山口県 宇部市 常盤台1丁目20−2
上宇部こどもクリニック 萩原啓二 
電話: 0836-29-1155
Fax: 0836-29-1156
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Tuesday, June 12, 2012

ブドウ球菌による食中毒





黄色ブドウ球菌(Luria Agar 培地で一昼夜培養したもの)
Department of Biology, Furman University





                                  
黄色ブドウ球菌(走査電子顕微鏡写真,2万倍)

黄色ブドウ球菌による食中毒は,一見,農薬や毒物中毒と似て,摂取後すぐに
症状がでるのが特徴。


食品中で黄色ブドウ球菌(毒素を産生する株)が増殖する時に産生するエンテ
ロトキシンを、食品と共に摂取することでおこります。数時間後に激しい嘔気・
嘔吐、腹痛、下痢を伴う急激な急性胃腸炎症状がでます。

2000年(平成12年)6月から7月にかけて、近畿地方を中心に発生した、雪印乳業
の乳製品(主に低脂肪乳)による集団食中毒事件では,製造工程でエンテロトキシン
Aが混入した。認定者数14,780人。





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ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(新生児)

写真)皮膚に付着した黄色ブドウ球菌(Dennis Kunkel Ph.D., Dennis Kunkel 
---------- Microscopy, Inc. Kailua,HI)



写真)新生児のブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の頚部皮膚の発赤と表皮剥離。


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ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
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黄色ブドウ球菌は子供のとびひ(伝染性膿痂疹),あせものより(汗腺膿瘍),

皮下膿瘍の原因ですが,これは少し変った毒素をだす黄色ブドウ球菌による
伝染性の病気です。

症状)新生児、乳児で目の周り、口唇周囲、首、腋下、そけい部などに小膿胞
ーーーがでてタダレ、その周囲の皮膚は真っ赤になります。しばらくするとそ
ーーーの周りの皮膚が,火傷のあとのようにぺローリと一皮きれいにむける病
ーーー気があります(写真)。 

病原体)医学用語ではSSSS(= Staphylococcal Scalded Skin Syndrome
ーーーー= ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)略して4Sといい、表皮剥離毒素を
ーーーーだす黄色ブドウ球菌によっておこります。メチシリン耐性黄色ブドウ
ーーーー球菌(MRSA)であることが多い。

感染経路)手洗いや部屋の消毒をいくら厳重にしてもこの病気の流行を食い止
ーーーーーめることはでません。黄色ブドウ球菌はヒトの鼻腔に住みついて

ーーーーーコロニーをつくり ヒト→ヒトへと感染伝播。成人は毒素に対して
ーーーーー免疫があるために発症しません。 新生児、乳児は免疫がないので、
ーーーーーこのブドウ菌のだすexfoliative toxin で皮膚の表皮剥離をおこします。


ーーーーーー写真)PCR法による表皮剥離毒素の遺伝子A, Bの検出。


山口大学医学部臨床検査部:水野先生

治療) 皮膚の消毒,分離された黄色ブドウ球菌に感受性ある抗生物質の投与
ーーーーで完治します。

医療従事者へ)気をつけて下さい。新生児のブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
ーーーーーーーは小児科医からの集団感染例があります。

→ 1986年にロンドンの小児病院 Guy`s Hospitalで発生した新生児SSSSの
----アウトブレイクについての論文:Dancer SJ.,Simmons NA., Poston SM.,Noble WC:
----Outbreak of staphylococcal scalded skin syndrome among neonates .
----Journal of Infection 16:87-103,1988.



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