Monday, July 9, 2012

夏の食中毒:腸管出血性大腸菌





腸管出血性大腸菌( O157:H7):走査電顕,7,075倍。

腸管出血性大腸菌:ベロ毒素を産生することのあるO抗原としては、O1、O2、O18、
------------------------ O26、O103、O111、O114、O115、O118、O119、O121、O128、
------------------------ O143、O145、O157、O165などがある。全体の約80%がO157。
潜伏期間:3~5 日。
症状:  激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に、血便となる。
原因食品:ベロ毒素(Verotoxin, またはShigatoxin )を産生する大腸菌で汚染
ーーーーーされた牛肉,ハンバーガー。
合併症: 病気の回復期に小学生,特に幼児では溶血性尿毒症症候群(Hemolytic 
ーーーーーUremic Syndrome),稀には脳症などの重症な合併症がおこる。





腸管出血性大腸菌(0:157)の集団感染事例:
1)1990 年埼玉県浦和市の幼稚園で井戸水(2次汚染)を原因とした集団発生で
ーー120名の園児が急性腸炎に罹患,20名が溶血性尿毒症症候群(年令が2〜8才)
ーー園児2 名が死亡。
2)1996 年5月,岡山県に始まった集団発生から、7月には大阪府堺市の小学生5,591名に
ーー上る集団発生。入院総数約600人(?)溶血性尿毒症症候群,約300人(?),
ーー3名が名死亡。原因は給食あるいは仕出し弁当であった。カヨワレ大根
ーーが疑われたが原因食品が確定できなかった。
3)1998年には北海道産のイクラを原因食品として7 都府県で患者49 名が発生。
4)2001年には輸入牛肉を原材料とした「牛タタキ」を汚染源とし7都県で240名の患者
ーーが発生する事例も報告された。

一方、本症では家族内発生と二次感染が多いことも特徴である。発生時期は、夏季に多い
が冬季にもみられる。 1997年以降、集団事例の報告数は減ったものの、散発事例におけ
る患者数はほぼ横ばい状態で年間千数百人の患者が発生している。

腸管出血性大腸菌(O:111)の集団感染:
2011年4月:焼き肉チェーン店(主に富山県内)で患者数181名,溶血性尿毒症症候群
32名(1〜70才),脳症9例,死亡5名。ユッケが主たる原因食肉。


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