Monday, September 26, 2011

デング熱 ( Dengue fever )

デング熱の報告のある国

デング熱の病原体:デング熱ウイルス Dengue fever viruses(Type 1,2, 3,4)
デング熱ウイルス粒子:円形のもの(電子顕微鏡)
                               --------------- Public Health Image Library

感染経路:デング熱ウイルスをもったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されて
ーーーーー感染する。
ネッタイシマカ Aedes aegypti

ヒトスジシマカ Aedes albopictus
                 ----------------- 国立感染症研究所 昆虫医科学部

病型:
1)不顕性感染:半数以上は感染するが発病しない。
)デング熱(Dengue Fever):
ーーーネッタイシマカ Aedes aegyptiヒトスジシマカ Aedes albopictus
ーーー刺された3~7日後、高熱(2〜7日),頭痛特に眼窩痛・筋肉痛・関節痛。
ーーーその後に胸部・体幹から始まる丘疹が出現し、四肢・顔面へ広がる。
ーーーこれらの症状は1週間程度で消失し、通常、後遺症なく回復する。
ーーー年少の子供で最初の感染は年長児や大人に比較して病気が軽い傾向がある。
3)デング出血熱(Dengue Hemorrhagic Fever)

ーーー出血傾向を主症状とする。致死率は国により、数 パーセントから
ーーー1パーセント以下と様々である。発熱が終わり平熱に戻りかけた
ーーーときに起こることが特徴的である。四肢に細かい点状出血がみられる。
ーーー胸水や腹水が極めて高率にみられる。多くの例で適切な治療が行われ
ーーーないと死に至る疾患である。


予防: 現在のところ予防ワクチンはない。蚊に刺されない。


参考:1)国立感染症研究所 感染症情報センター:デング熱
   2)CDC: Dengue


ご質問は: 
〒755ー0097
山口県 宇部市 常盤台1丁目20−2
上宇部こどもクリニック 萩原啓二 
電話: 0836-29-1155
Fax: 0836-29-1156
E-mail: keijihagiwara@gmail.com

Tuesday, September 6, 2011

ペスト

ペスト菌Yersinia pestisのコロニー:ヒツジ血液寒天
培地で2日培養Public Health Image Library,CDC
ペスト菌Yersinia pestisのコロニー:チョコレート寒天
培地で24時間培養 ( Public Health Image Library,CDC)
ペスト菌Yersinia pestis:蛍光抗体法Public Health Image Library,CDC

1)ペストの病原体:エルシニア・ペステス(Yersinia pestis)。
                                        グラム陰性桿菌で多型性。
2)感染経路:菌に感染した野ネズミなどのげっ歯類に寄生したノミに咬まれる。
                            稀には肺ペスト患者との接触感染。
3)ペストの分布:
ーーー→ 土色:ペストの報告ある国,赤色:動物にペストが発生している地域
-------- Centers for Disease Control and Prevention
4)病気の型:1〜6日の潜伏期間。
                        ア)腺ペスト:発熱,腋下リンパ節,腕やソケイ部リンパ節腫大,痛み。
ーーーーーーーーー発症後3 ~4 日経過後に敗血症を起こし、その後2~3日以内に死亡。
                        イ)肺ペスト:肺炎をおこしたもの,発病後12~24時間で死亡。
                        ウ)その他に咽頭型,髄膜炎型,敗血症型(全身に菌)がある。
5)治療:ペストの治療には抗菌薬が非常に良く効くため、早く治療さえすれば
     治癒する。肺ペストの場合は病気の進行が極めて速いので、抗菌薬の
     早期の投与が必須である。以前はテトラサイクリンとストレプトマイシン
     が使用されたが,ニューキノロン系の抗菌薬(レボフロキサシン、
      スパルフロキサシン)が優れた抗菌力をもつ。
6)ペストのワクチン:
   不活化ワクチンで3回接種(0,1か月,6か月)。検疫所にあります。
   ただし肺ペストの予防に対する有効性は証明されていません。また、ペスト菌に
   接触してからのワクチン接種は発病予防のためには役立ちません。
   ペスト菌に接触した可能性のあるヒトには、抗生物質の予防的投与が勧められて
   います。アメリカ合衆国では、抗生物質の予防的投与としては、Doxycycline
   あるいは、Ciprofloxacinで、7日間の投与が勧められています。


ご質問は: 
〒755ー0097
山口県 宇部市 常盤台1丁目20−2
上宇部こどもクリニック 萩原啓二 
電話: 0836-29-1155
Fax: 0836-29-1156
E-mail: keijihagiwara@gmail.com