Saturday, January 30, 2010

ヘモフィルス・インフルエンザ菌とは?

ヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophylus influenzae)は,かつて流行性感冒
(インフルエンザ)の病原体と考えられたので,その名前がついています。

i)  形態:0.2~ 0.5 μm の球形〜短桿状の細菌,グラム染色(ー)


    写真1)ヘモフィルス・インフルエンザ菌のコロニー
ーーーーチョコレート寒天培地で培養したもの,山口大学医学部臨床検査部,水野先生


ーーーーー写真2)電子顕微鏡写真:この菌は丸いもの,棒状のものと形が色々
ーーーーーーーーー緑色はあとから着色処理したので実際の菌の色ではありません。
ーーーーーーーーー Dr. Dennis Kunkel, Dennis Kunkel Microscopy, Inc. Kailua, HI 

ーーーーーー写真3)白血球に食われたヘモフィルス・インフルエンザ菌
ーーーーーーDr. Rebecca Buxton, Department of Pathology, University of Utah

ii) 種類:この菌は莢膜をもつタイプと莢膜をもたないタイプに2分されます。
ーーーーー莢膜をもつタイプは6種類に分類:a, b, c, d, e, f
ーーーーーb型が多く分離され病原性も強い傾向にあります。

iii) 病気の種類:

① 風邪,気管支炎,肺炎:莢膜を持たないタイプによるものが多い。
ーーーーーーーーーー写真4)痰の中のヘモフィルス・インフルエンザ菌
ーーーーーーーーーーDr. Rebecca Buxton, Department of Pathology, University of Utah


② 急性喉頭蓋炎:欧州,北米ではb型によるもの多く重症化している
ーーーーーーーーー例が多いですが,日本では幸い少ない。
③ 急性髄膜脳炎:b型がほとんど。日本では年間約600人の乳幼児が罹患し、

ーーーーーーーーー5%が死亡し、約25%に後遺症が残ると推定されています。
④ 急性中耳炎:莢膜を持たないタイプによるものが多い。

⑤ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型に対する予防ワクチンがあります。
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