Sunday, January 29, 2017

タロ,ジロが生き残った理由


タロは昭和36年5月南極から帰国(6才)。その後北海道
大学付属植物園で余生を送り昭和45年8月死亡(15才)。
ジロは昭和35年7月 南極基地で死亡(5才)

第一次及び第三次南極越冬隊員として犬係り, オーロラ観測任務で参加された
北村泰一 先生【1931(昭和6)年生まれ,九州大学名誉教授,京大理学部地
球物理学科卒】によるとタロ,ジロが生き残った理由として--------

1)犬の年齢:第一越冬に参加した時点でのカラフト犬15匹の年齢は
ーー1才から5才で,中心メンバーは3~4才犬。タロ,ジロ兄弟は
ーー1才で一番若く予備軍の犬だった。タロ,ジロは同時に生まれた
ーー兄弟(稚内で3匹同時に生まれたが,一番下のサブローは北海道
ーーで訓練中に病死)でいつも行動を共にしていた。昭和基地で越冬
ーーを開始した時は1才で,そこを我が家と思っていた節がある。

2)約1年ぶりにタロ,ジロと再会した時,最初はどの犬かわからな
ーーかった。ましてタロ,ジロは大きく成長し,飢餓状態というより
ーー栄養が満ち足りた体だった。


ーー犬の中には飢餓時に共食いするのがいるが,鎖につながれたまま
ーー発見された7匹の遺体はそのまま。 不思議な事に昭和基地に残
ーーしてあった人間用及び犬用の保存食にはいっさい手をつけてなか
ーーった。飢餓状態なら,これらを食べていたに違いない。

ーー第一次越冬中,アザラシの糞(不消化物が多い)を食べたり,
ーーペンギンを襲って殺していた。あと海鳥,氷に閉じ込められた魚
ーーを食べていたんでしょう。

ーーアメリカ版の南極物語(Eight Below) では,sea leopard 海豹に
ーー犬が襲われるシーンがあるが,昭和基地の周囲海域にはいない。

ーー首輪を外していた他の6匹は行方不明だが,氷海に消えたか,
ーーブリザードで死んだか?どうか本当のことは分からない。

3)-------- あれから50年たったが,今でも悔やまれることがある。
ーー基地に戻ってくる予定で15頭の犬たちの首輪を1つ締めたこと
ーーである。しめなければ7頭は首輪を外して生き延びたかもしれない。





引用図書)
i) 北村 泰一 :南極越冬隊 タロジロの真実,小学館文庫,2007年3月発行
ii) 北村 泰一:タロジロ,私と映画 " 南極物語 " の真実,p21~40,
ーーーーーー小野延雄,柴田鉄治 編:日本南極観測隊,丸善:平成18年11月発行

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