診療所の裏側のとこで,朝顔で緑のカーテンを作りました。
Monday, July 23, 2012
Monday, July 16, 2012
食中毒:ボツリヌス菌
ボツリヌス菌(A型)のコロニー(5倍に拡大):血液寒天培地で72時間培養
----------- Public Health Image Library
ボツリヌス菌:グラム陽性の桿菌(1x5 μm)
------------ Public Health Image Library
ボツリヌス菌の芽胞(Malachite green染色):広く土壌,ヘドロに芽胞の形で生息。
----------------- Public Health Image Library
ーーーーーーーグラム陽性の桿菌(1x5 μm)。
ーーーーーーー広く土壌,ヘドロに芽胞の形で生息。空気のない嫌気状態
ーーーーーーーでは芽胞から増殖しボツニヌス毒素を産生。
ーーーーーーー毒素の違いによりA~G型に分類され、ヒトに対する中毒は
ーーーーーーーA,B,E,F,G型で起こる。
-------------------------A型:アメリカ太平洋岸
-------------------------B型:ヨウロッパ,アメリカ中部
-------------------------C型:南アフリカ,オーストラリア,アメリカ
-------------------------D型:南アフリカ
-------------------------E型:日本
ーーーーーーーボツリヌス毒素自体は100℃で1~2分の加熱で失活されるが,
ーーーーーーー菌を不活化させるには100℃で6時間、芽胞では120℃で4分間
ーーーーーーーの加熱が必要。
ボツリヌス症:多くはボツリヌス毒素を含んだ食物を食べることで起こる。
潜伏期間は数時間から数日。
ーーーーーーー複視から顔面麻痺,四肢の麻痺へと進行する。乳児では便秘,
ほ乳力が低下,脱力状態となる。
感染経路: 肉類の缶詰,キャビアの缶詰,腸詰ソーセージの処理過程
ーーーーーーー(多くは自家製)で,ボツリヌス菌の芽胞が混入し空気の
ーーーーーーーない状態で発芽して増殖。
ーーーーーーー乳児では輸入した蜂蜜を摂取して発病した事例がある。
ーーーーーーー1984年、熊本県で製造された真空パックの辛子蓮根を食べた
ーーーーーーー36名がボツリヌス菌(A型)に感染し、内11名が死亡した。
ーーーーーーー原料のレンコンを加工する際に滅菌処理を怠り、なおかつ真空
ーーーーーーーパックし常温で保管流通させたために、土の中に繁殖する嫌気性
ーーーーーーーのボツリヌス菌がパック内で繁殖した。
ご質問は:
〒755ー0097
山口県 宇部市 常盤台1丁目20−2
上宇部こどもクリニック 萩原啓二
電話: 0836-29-1155
Fax: 0836-29-1156
E-mail: keijihagiwara@gmail.com
食中毒:細菌性赤痢
赤痢菌:Shigella dysenteriae
2,200倍,走査電顕写真
病原体 :赤痢菌(Shigella)。
ーーーーーーShigella 属には4菌種ありShigella dysenteriae,
ーーーーーーShigella 属には4菌種ありShigella dysenteriae,
ーーーーーーShigella flexneri , Shigella boydii, Shigella sonnei ある。
感染経路: ほとんどが海外からの輸入例である。
ーーーーーー細菌性赤痢の主な感染源はヒトであり、患者や保菌者の糞便、
ーーーーーー汚染された手指、食品、水、ハエ、器物を介して感染する。
ーーーーーー水系感染は大規模な集団発生を起こす。感染源がヒトである
ーーーーーーので、衛生水準の向上と共にその発生は減少する。
潜伏期: 1 ~3日
症状: 急激な発熱、水様性下痢,腹痛、膿粘血便
ーーーーーーS. dysenteriae やS. flexneri は典型的な症状を起こす事が多いが、
ーーーーーーS. sonnei の場合は軽度な下痢、あるいは無症状に経過することが多い。
ご質問は:
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食中毒:エルシニア菌
エルシニア菌(エンテロコリチカ,XLD寒天培地)
エルシニア菌(エンテロコリチカ,鞭毛染色)
エルシニア菌:グラム陰性の桿菌で腸内細菌科に属しており、冷蔵庫内温度
ーーーーーーーである4 ℃でも発育できる。11種類に分類される。
ーー感染経路:Yersinia enterocolitica 、Yersinia pseudotuberculosisでは
ーーーーーーー汚染された飲み水(井戸水),ミルク,ブタ肉,食物を介して経口的に
ーーーーーーーである4 ℃でも発育できる。11種類に分類される。
ーー感染経路:Yersinia enterocolitica 、Yersinia pseudotuberculosisでは
ーーーーーーー汚染された飲み水(井戸水),ミルク,ブタ肉,食物を介して経口的に
ーーーーーーー感染する。保菌動物はブタ,犬,猫,ネズミ( pseudotuberculosis)
ーーー ーーー白鳥(enterocolitica)。ブタの小腸を扱った母親から赤ちゃんに
ーーーーーーー感染した例もある。季節は夏より冬に発生しやすい。
ーー潜伏期間:4〜6日(1〜14日)
ーーー ーーー白鳥(enterocolitica)。ブタの小腸を扱った母親から赤ちゃんに
ーーーーーーー感染した例もある。季節は夏より冬に発生しやすい。
ーー潜伏期間:4〜6日(1〜14日)
i) Yersinia enterocolitica(エルシニア・エンテロコリチカ):下痢や腹痛をともなう
急性腸炎が多いが,急性虫垂炎様,敗血症,髄膜炎,ポリオ様,腎炎,
結節性紅斑や関節炎まで多彩である。
急性腸炎が多いが,急性虫垂炎様,敗血症,髄膜炎,ポリオ様,腎炎,
結節性紅斑や関節炎まで多彩である。
ii) Yersinia pseudotuberculosis (エルシニア・シュードツベルクローシス):
ーー乳幼児に多くみられ、発熱は殆ど必発であり、比較的軽度の下痢と腹痛、嘔吐
ーーがこれに次ぐ。発疹、紅斑、咽頭炎もしばしば観察される。川崎病と同じ症状
ーーを示す例など。
iii) Yersinia pestis(エルシニア・ペスチス):ペスト菌含有ノミ(野ネズミ)の
ーーー咬傷による。ーーー 次のブログで後述します。
日本での集団発生:1972年に下痢症患者から初めてYersinia enterocolitica 菌が分離
ーーーーーー されてから現在までに、14例の集団食中毒の発生が確認されている。
ーーーーーーー患者数が最も多かったのは1980年に発生した沖縄県の事例で、
ーーーーーーー1,051名の報告がなされた。最近では1997 年に、徳島県の病院や
ーーーーーーー学校の寮で患者66 名発生。ペストは大正以来日本で発生はない。
ーー乳幼児に多くみられ、発熱は殆ど必発であり、比較的軽度の下痢と腹痛、嘔吐
ーーがこれに次ぐ。発疹、紅斑、咽頭炎もしばしば観察される。川崎病と同じ症状
ーーを示す例など。
iii) Yersinia pestis(エルシニア・ペスチス):ペスト菌含有ノミ(野ネズミ)の
ーーー咬傷による。ーーー 次のブログで後述します。
日本での集団発生:1972年に下痢症患者から初めてYersinia enterocolitica 菌が分離
ーーーーーー されてから現在までに、14例の集団食中毒の発生が確認されている。
ーーーーーーー患者数が最も多かったのは1980年に発生した沖縄県の事例で、
ーーーーーーー1,051名の報告がなされた。最近では1997 年に、徳島県の病院や
ーーーーーーー学校の寮で患者66 名発生。ペストは大正以来日本で発生はない。
ご質問は:
〒755ー0097
山口県 宇部市 常盤台1丁目20−2
上宇部こどもクリニック 萩原啓二
電話: 0836-29-1155
Fax: 0836-29-1156
E-mail: keijihagiwara@gmail.com
Monday, July 9, 2012
夏の食中毒:ウエルシュ菌
ウエルシュ菌(顕微鏡,グラム染色)
----------- Public Health Image Library, CDC
ウエルシュ菌:長さ3~9μm、幅0.9~1.3μm
ーーーーーー河川、海、耕地などの土壌に広く分布する。ヒトの感染症としては
ーーーーーー食中毒の他に、ガス壊疽、化膿性感染症、敗血症等が知られている。
汚染食品:食肉、あるいは魚介類等を使った調理品。
潜伏期間:6~18時間
症状 :腹痛,水様便。嘔吐や発熱などの症状はきわめて少なく一般的に軽くて
潜伏期間:6~18時間
症状 :腹痛,水様便。嘔吐や発熱などの症状はきわめて少なく一般的に軽くて
ーーー ー1~2日で回復する。
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〒755ー0097
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食中毒:セレウス菌
セレウス菌(ヒツジ赤血球を含む寒天培地に増殖したもの)
セレウス菌(グラム染色)
ーーーーー100 ℃30 分の加熱にも耐える芽胞の形で土壌などを中心に自然環境に
ーーーーー広く分布し、野菜や穀物などの農産物を汚染している。毒素を産生。
ーーーーー嘔吐をおこす毒は消化酵素や熱、酸・アルカリにも安定であるため、
ーーーーー食品中で産生された毒素で中毒が発現する。
潜伏期間:30分~5 時間
症状 :腹痛,嘔吐,下痢。
発生年月 患者数 原因食品 場所
---------------------------------------------------------------------
1990年1月 350 仕出し弁当 会社
1990年8月 291 牛乳 保育所,家庭
1991年8月 359 給食弁当 社員食堂
1991年9月 1,877 学校給食 学校
1992年4月 541 弁当 学校
1995年10月 296 仕出し弁当 自宅
1996年5月 254 スパゲッテイ 学校給食
1998年10月 516 米飯 飲食店
----------------------------------------------------------------------
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山口県 宇部市 常盤台1丁目20−2
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夏の食中毒:腸炎ビブリオ菌
腸炎ビブリオ菌(走査電顕,1,400倍)
ーーーーーーーー日本では特に6月から9月の、海水温が20℃を超える時期に多く
ーーーーーーーー発生する。本菌は海水に広く存在するため、イカや貝類が比較的多い
ーーーーーーーーが、その他の一般の魚など、ほとんどの海産魚介類の生食が原因に
ーーーーーーーーなりうる。
潜伏期間:6〜12時間。
症状 :発熱,嘔吐,腹痛,下痢であるが,2〜3日で回復。
ーーーーー毒素による心臓毒性によって死亡することもある。
1950年、泉州地方を中心とした大阪府下で、激しい腹痛を伴う原因不明の下痢の患者
が集団発生。患者数は272名(死者はうち20名)。発症者がいずれも、大阪府下で行商
販売されていた白子干し(シラス干し)を食べていたことから、これが原因食品である
ことは早期に特定されたが,当初考えられた既知の食中毒菌は分離されなかったこと
から毒物混入事件として疑われ、刑事事件として立件された。その後,大阪大学医学部
の藤野恒三郎によって,これまで知られていないビブリオ属に属する好塩性のグラム陰
性桿菌の一種が分離された。
潜伏期間:6〜12時間。
症状 :発熱,嘔吐,腹痛,下痢であるが,2〜3日で回復。
ーーーーー毒素による心臓毒性によって死亡することもある。
1950年、泉州地方を中心とした大阪府下で、激しい腹痛を伴う原因不明の下痢の患者
が集団発生。患者数は272名(死者はうち20名)。発症者がいずれも、大阪府下で行商
販売されていた白子干し(シラス干し)を食べていたことから、これが原因食品である
ことは早期に特定されたが,当初考えられた既知の食中毒菌は分離されなかったこと
から毒物混入事件として疑われ、刑事事件として立件された。その後,大阪大学医学部
の藤野恒三郎によって,これまで知られていないビブリオ属に属する好塩性のグラム陰
性桿菌の一種が分離された。
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夏の食中毒:腸管出血性大腸菌
腸管出血性大腸菌( O157:H7):走査電顕,7,075倍。
------------------------ O26、O103、O111、O114、O115、O118、O119、O121、O128、
------------------------ O143、O145、O157、O165などがある。全体の約80%がO157。
潜伏期間:3~5 日。
症状: 激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に、血便となる。
原因食品:ベロ毒素(Verotoxin, またはShigatoxin )を産生する大腸菌で汚染
ーーーーーされた牛肉,ハンバーガー。
合併症: 病気の回復期に小学生,特に幼児では溶血性尿毒症症候群(Hemolytic
症状: 激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に、血便となる。
原因食品:ベロ毒素(Verotoxin, またはShigatoxin )を産生する大腸菌で汚染
ーーーーーされた牛肉,ハンバーガー。
合併症: 病気の回復期に小学生,特に幼児では溶血性尿毒症症候群(Hemolytic
ーーーーーUremic Syndrome),稀には脳症などの重症な合併症がおこる。
腸管出血性大腸菌(0:157)の集団感染事例:
1)1990 年埼玉県浦和市の幼稚園で井戸水(2次汚染)を原因とした集団発生で
ーー120名の園児が急性腸炎に罹患,20名が溶血性尿毒症症候群(年令が2〜8才)
ーー園児2 名が死亡。
ーー120名の園児が急性腸炎に罹患,20名が溶血性尿毒症症候群(年令が2〜8才)
ーー園児2 名が死亡。
2)1996 年5月,岡山県に始まった集団発生から、7月には大阪府堺市の小学生5,591名に
ーー上る集団発生。入院総数約600人(?)溶血性尿毒症症候群,約300人(?),
ーー3名が名死亡。原因は給食あるいは仕出し弁当であった。カヨワレ大根
ーーが疑われたが原因食品が確定できなかった。
ーー3名が名死亡。原因は給食あるいは仕出し弁当であった。カヨワレ大根
ーーが疑われたが原因食品が確定できなかった。
3)1998年には北海道産のイクラを原因食品として7 都府県で患者49 名が発生。
4)2001年には輸入牛肉を原材料とした「牛タタキ」を汚染源とし7都県で240名の患者
ーーが発生する事例も報告された。
一方、本症では家族内発生と二次感染が多いことも特徴である。発生時期は、夏季に多い
が冬季にもみられる。 1997年以降、集団事例の報告数は減ったものの、散発事例におけ
る患者数はほぼ横ばい状態で年間千数百人の患者が発生している。
一方、本症では家族内発生と二次感染が多いことも特徴である。発生時期は、夏季に多い
が冬季にもみられる。 1997年以降、集団事例の報告数は減ったものの、散発事例におけ
る患者数はほぼ横ばい状態で年間千数百人の患者が発生している。
腸管出血性大腸菌(O:111)の集団感染:
2011年4月:焼き肉チェーン店(主に富山県内)で患者数181名,溶血性尿毒症症候群
32名(1〜70才),脳症9例,死亡5名。ユッケが主たる原因食肉。
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Tuesday, July 3, 2012
夏の食中毒:サルモネラ菌
サルモネラ菌(血清型 enteriditis, SS寒天培地)
---------- 山口大学医学部臨床検査 水野
サルモネラ菌(血清型 Typhimurium, 走査電顕 2,500倍)
サルモネラ菌:自然界のあらゆるところに生息し、鳥類、爬虫類、両生類が
ーーーーーーー保菌している。とくに家畜(ブタ、ニワトリ、ウシ)の腸管内
ーーーーーーーでは常在菌として保菌していることが知られている。
-----------種類:2,000種類以上の血清型に細分。日本の腸チフス(Salmonella typhi ),
ーーーーーーーパラチフス(Salmonella paratyphi )の感染例は海外からの帰国者である。
ーーーーーーー日本国内では Salmonella enteriditisによる食中毒が近年急激に増加。
ーーーーーーー日本国内では Salmonella enteriditisによる食中毒が近年急激に増加。
ーーーーーーー
潜伏期間 :8~48 時間
症状ーーーー:悪心および嘔吐で始まり、数時間後に腹痛および下痢を起こす。
ーーーーーーーTyphimurium などは小児で意識障害、痙攣および菌血症、高齢者では
ーーーーーーー急性脱水症および菌血症を起こすなど重症化しやすく、回復も遅れる。
原因食品:1)生卵:洋菓子クリーム,シュークリーム,卵納豆,ヤマかけ,とろろ
ーーーーー2)卵調理品:オムレツ,卵焼き,だし巻き,錦糸卵,卵とじ。
ーーーーーーーーーーーー魚の黄身焼き,サラダ,どんぶり,ちらし寿司
ーーーーーーSalmonella Enteritidisに卵が汚染される経路は,親鳥から卵に感染。
ーーーーーー生みたての新鮮卵の中に既に菌があるからで,卵殻表面の消毒だけ
ーーーーーーでは防げない。
ーーーーー3)乾燥イカ菓子(1999年3月,Salmonella Oranienburg )
ーーーーー4)鶏肉,生ハム
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Monday, July 2, 2012
夏の食中毒:カンピロバクター菌
カンピロバクター・ジェジュニ菌(スキロー培地)
----------- 山口大学医学部臨床検査部 水野
カンピロバクター・ジェジュニ菌(48時間培養したもの,顕微鏡写真)
カンピロバクター・ジェジュニ菌(走査電子顕微鏡,倍率11,734)
生食野菜・サラダへの二次汚染。トリ刺し、レバ刺しは避けて下さい。
潜伏期間が2~5日と少し発病するまで時間あります。嘔吐,下痢,粘液血便の
程度が個人差があり,同じものを食べても発病しないヒトもいます。
殆どが Campylobacter jejuni 菌。
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